経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワン・コミュニケー ションズ

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2013.07.12

混声合唱のプレスリリース

先日、IT関係のセミナーに出席した際に、成長のための3つのビタミンEという話を聞いた。企業の成長のためには、部単位やチーム単位、そして個人のレベルにおいて、経験(Experience)、教育(Education)、実験(Experiment)を日常的に行える環境づくりが必要で、そのためには適切なITツールを導入するのが近道というような文脈だった。

この3つのビタミンEというのは、広報の仕事にもいえることであります。

広報の仕事は、社会環境の変化によって、従来からのメディアリレーションにとどまらず、今や多岐にわたる。自分たちのビジネス環境も変化するし、メディアの環境も変化するし、テクノロジーの進化によって広報のインフラも変化するし、こうすればいいという正解が見つけにくい世界である。個人に蓄積された知識や技能、すなわち経験(Experience)の積み重ねが大きな力になる。わたしは広報の仕事をはじめて18年目になるけれど、経験していないことにいまだに遭遇する。

でも、個人の経験だけに頼っていては、組織としての力は大きくならない。そこには教育(Education)が不可欠だ。個人としての経験を組織としての経験に変換することが必要となる。広報担当者が会社を辞めたらノウハウは何も残らなかったというのでは、会社にとって大きな損失になってしまう。会社経営の中で広報機能を重視するのならば、一人広報のような個人の力量に依存する体制はとるべきではない。また、広報に携わる人としても、他社の優れた広報手法を研究するなど、常に学ぶことを意識したい。学ぶの語源はまねるといいますし。

最後に実験(Experiment)。広報の仕事環境はここ数年で大きく変化している。企業がリーチしたい対象にメッセージを届ける方法は今や伝統的なメディアの活用だけではない。新しいテクノロジーが生み出すさまざまなツールを使ってみるといった果敢なチャレンジも必要だ。

実験やチャレンジは、なにも新しいやり方を導入するだけではない。従来からの仕事でも、やり方を少し変えてみるというのは立派な実験だ。

前に書いた「Mo-so draft of press release」では、プレスリリースをかなり早期に書き起こし、メッセージ作りのたたき台として、新製品や新サービスの市場投入を広報でリードする、という提案をした。プレスリリース作成という広報の仕事の基本作業においても、決してルーチン化することなく、実験することによって品質向上をどんよくに追求したい。

プレスリリースに関してはもう一つ実験をしている。それは、一件の発表物に関するリリースを、たとえば二人で用意ドンで書いて、二本の草稿から一本のリリースを作り出す、とやり方である。プレスリリース作成というのは、慣れてくると特にそうなるのだが、無意識のうちに視野が狭くなり、自分の思い込みから出られなくなるときがある。発表の後に記者から指摘されて、そういう視点もあったな、と反省することも度々である。

そこで、一つの案件を複数の眼で見てみる。見るだけでなく、実際に同時並行で書いてみる。自分が気がつかなかった点、あるいはそれほど重きを置いてなかった点がもう一方のリリースでは表現されていて、うまく組み合わせれば視点をできるだけ広角に拡げた文書ができる。ニュース素材の魅力を正確に伝えるポイントの取りこぼしが減る。自分が書いたリリースを他人に読んでもらうという方法も有効だが、できあがった文章への批評は、そこに書かれている表現の枠から出にくい。まっさらの紙に、別々の思考を持った人間が、別々の文章を書くことに意味がある。

最近読んだ「脚本家・橋本忍の世界」(村井淳志著、集英社新書、2005年)に、黒澤明監督の映画の共同脚本についての記述があった。黒澤作品には複数のシナリオライターによるものが多数ある。たとえば「七人の侍」は、橋本忍、小国英雄、黒澤明の三人による共同脚本である。

本書によると、普通の共同脚本は、あるライターが書いた脚本を別のライターが手直しするか、あるいは複数のライターによる分担作業である。ところが、黒澤監督の映画製作では、全員が同じシーンを別々に書くという、誰もやっていない方式をとっていたという。その理由を橋本忍は、本書の中で次のように言っている。

「なぜ同じシーンを書くかというと、つまり三人なら三人で書くでしょう。シナリオっていうのはワンシーンだけだったら、上手下手はほとんどわからない。語り口が違うだけだよ。三人寄れば三通り、四人寄れば四通りある。それで黒澤さんは、自分よりいい語り口があると、熟語であれ、長いセリフであれ、自分のものと入れ替えていくわけ。音楽のフレーズを入れ替えるように。そうすると混声合唱の本ができる。こうすると一番目が詰まって、強い」

混声合唱のプレスリリース、もしよかったら実験してみてください。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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