経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2012.07.27

Mo-So draft of press release

かつて、既製コンピューターソフトの再販会社から自社で製品を開発するソフトウェア会社への転身を図ろうとする国内企業の広報コンサルティングを手がけたことがある。わたくしも独立したての頃であったし、ひとつの企業が意志ををもって変化しようとしているときに仕事をさせてもらって、とてもイクサイティングであった

新しい分野への参入を果たしたばかりなので、大きな会社ではないが身の丈ほどのニュース素材はある。製品の改良もされるし、新しい事業アイデアも出てくる。記者発表会の機会も何度か得ることができた。それでも、プレスリリースを作成するのは毎回苦労した。

新製品や既存製品のバージョンアップが出てくるときに、開発チームからブリーフィングを受けてプレスリリースを書き起こす。新製品で新しくなった点、バージョンアップによって強化された点や従来版との差分など、ニュースの素材となるポイントを聞き出してメディアに読んでもらえる文章に変換する。プレスリリースは広報活動の基本である。

しかし、開発チームは説明に慣れていない。エンジニアは総じて現実的である。謙虚である。実直である。自分たちの製品を客観視しすぎてしまうのか、どこが新しいのかわかりにくい。「そこ、新しいんじゃないですか」とこちらが指摘しても、「いやいや、そんなたいしたことじゃないんだけど」と謙そんする。

そこで、おおまかな説明は受けたけれどアピールポイントがはっきりしない段階から、いったん広報の視点で強引にプレスリリース原稿を書いてしまうことにした。多少特徴をデフォルメすることもいとわずに、こんな内容だと記事になりやすいなという想像も含めて、まず文字にする。

文章になったものを読むと具体的なイメージがわくので、口数の少なかった開発チームも、大事なことが書かれていないから加筆してほしいとか、ここは理解が違ってるとか、これはちょっとおおげさとか、そうそうそれがいいたかったんだとか、議論が活発になった。あるときは、「これじゃ製品としての魅力がまだないな、開発に差し戻し」となったこともある。つまり広報と製品開発が有機的な関係となったのだ。この、プレスリリースのバージョン0とでもいうべき柔らかい段階の文書が、思いのほか機能した。

これをわれわれは、「Mo-So Draft」と名づけて活用した。Mo-Soとは妄想です。Mo-So Draftはバージョン1.0で役目を終え通常の草稿へと昇格することもあれば、Mo-So Draftだけで3.0あたりまで版を重ねることもあった。結果的に文章を徹底して練ることになり、ニュース価値の大小はあれど、新規性をきちんとおさえたプレスリリースにつながった。

文章を書くということは考えを整理するのに最良の方法であるし、文章を読むことで気づかなかったことに気づく。この方法は、広報の経験がまだ浅い人にもおすすめです。

妄想といえば、タモリが「想像力がきれいごとでウソくさいのに対し、妄想力は笑いも本能も含む総合力」とのコメントを、関根勤のDVD発売に寄せていた。

いくつになっても妄想は、深い思考と確かな成長の基盤なんだなと思うのでした。ムフフ。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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広報・PR主導のコンテンツ駆動型コミュニケーション

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正確でわかりやすい情報を社会に発信することは、いまや企業の経営を強くする上で最優先に考えなくてはならないものとなりました。これは、民間企業だけでなく、組織の運営基盤という観点から大学をはじめとする教育機関や公共機関にもいえます。その一方で、メディアの多様化により情報発信の方法は手軽になりましたが、発信する情報の質がより一層問われる時代になったと感じます。

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