プレスリリースを出してもなかなか記事にならない、という悩みをよく聞きます。残念ながら、一部の大企業を除けば、プレスリリースだけで簡単に記事になることは多くありません。
じっくりこつこつとメディアとの関係を作っていくことが最善の策であり、一社一社、一人一人、一歩一歩、地道に良好なリレーションを築いていくしかないのです。日本において、オートマチックな広報は今のところありえません。
NHKのEテレに 「めざせ!会社の星」 という番組があります。2011年10月29日の放送は 「人気ナンバーワン 広報部のシゴト」 でした。新聞のテレビ欄では 「憧れの部署・広報部に潜入」 「花形広報部」 とあります。むかし、企画・広報・国際が人気部署といわれた時代もありましたが、すごいですね。
以前もNHKの番組 「プロフェッショナル 仕事の流儀」 で 「広報・PR」 が取り上げられたことがありました。そこでは、米国から進出してきたファストファッションのブランドが渋谷に出展するときの派手なプロデュース事業をフィーチャーした内容になってしまっていました。この番組はどうかな、と見はじめたのですが、果たして期待はよいほうに裏切られました。
冒頭、出演している企業の広報の方々に、「広報の仕事をひとことであらわすと?」 という質問が出されます。その答えは、「どぶ板選挙」 「地道」 「いじられてなんぼ」 「主役にならない」 でした。さすが、現場のベテラン広報の方々、深く共感しました。
徹底した選挙区まわりをして支持者を固めていくのがどぶ板選挙 (注:現在は公職選挙法で戸別訪問は禁止されています) なら、いろいろなメディアとの人間関係、信頼関係をひとつずつ築いていって、地道に会社のことを正しく理解してもらう活動は、まさにどぶ板広報といえます。
広報は評価が難しい仕事でもあります。記事が出てあたりまえ、記事が出なかったら 「なんで出ないんだ」 といわれがち。会社のトップには、広報をけっして無料の宣伝としてとらえることなく、経営者らしく長期的な視野に立って、自分たちが商売をさせてもらっている社会に信頼を得る手段であることを、ぜひとも理解してもらいたいものです。
*2011年11月7日に目黒広報研究所に投稿したブログを一部加筆修正して掲載しています。