経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2012.04.07

報道発表資料の呼び名についての愚考

プレスリリースとニュースリリースが別物のように言う風潮が一部にあるようだけれど、これには違和感をおぼえずにはいられない。

プレスリリースは報道機関向けの発表資料で、ニュースリリースはホームページなどに掲載する一般向けの発表資料だというのである。

たしかにネットの時代になって、むかしは記者クラブのポストに投げ込んだり直接郵送やファックスで送付していた報道機関向けの発表文書を、ホームページやソーシャルメディアを使って一般に広く公開することがあたりまえになった。これには、報道されなかった事実や報道されても記事では省略された詳細な事実を伝えられるメリットがある。

そういう意味からすると、報道機関そのものをあらわす言葉を直接的に使ったプレスリリースという呼び方よりも、どちらかというとニュースリリースのほうが、より現代の呼び名にふさわしいという気はする。

しかし、プレスリリースと呼ぼうがニュースリリースと呼ぼうが、どちらも第一義的には報道機関に向けた資料、つまり報道する価値=ニュースバリューがあると思われる情報をまとめた企業や組織の公式発表文書を意味することにかわりはない。英語では、Press ReleaseやNews Release以外に、Media Releaseという言い方をするときもあるようだ。

できるかぎり客観的な視点で考えられ、誇張表現を排除し、事実を正確に書いた報道機関向け資料だからこそ、顧客やビジネスパートナーなどの利害関係者、あるいは一般の人に価値のある情報を直接伝える文書にもなりうると、わたしは考えている。最初から一般向けを想定して作成した文書はなかなかこうはならない。自分たちのいいたいことを飾り立てたくなるものだ。

ホームページなどで報道機関向けの発表文とは別に、一般向けの発表文を掲載すること自体は検討されてよいことだと思う。公表する機を逸してしまった事実や鮮度は落ちたが世の中に知らせたい事実で、どうしてもニュース素材の切り口を見つけられないものは、たとえばニュースレターやお知らせの形式にするなどして、伝えたい人たちに情報伝達すればよい。

参考までに、日本パブリックリレーションズ協会のPR用語ミニ辞典では、以下のような説明になっている。各種辞典や書籍にも、おおむねこんな意味が書かれているだろう。

「ニュースリリース(News Release)
企業活動で発生するニュース素材を報道機関に知らせるために、その内容を簡潔にまとめた通信文書のこと。パブリシティー活動の最も代表的な手法となっている。」

企業のホームページをざっと調べたところ、ニュースリリースと呼ぶ会社とプレスリリースと呼ぶ会社と二分されている。大手企業にかぎるとニュースリリースのほうが多いような印象だ(あくまで個人的な印象)。もちろん、報道機関に発表した文書としての位置づけである。

プレスリリースとニュースリリースという用語は、広報関係者の身近なところでいうと、複数の報道機関を招待して国内外の関連施設などに取材旅行に行くことを、プレスツアーと呼ぶかメディアツアーと呼ぶか、くらいのものである。

パンフレットとブローシャー、リーフレットとフライヤー、くらいのものである。

電信柱と電柱、通信簿と通知表、作家と小説家、くらいのものである。

アイスコーヒーとコールコーヒー、くらいのものである (これはちょっとちがいますか(笑)、関東と関西だ、それにしても古すぎます)。

体調が悪いときに、「ちょっと病院いってくるわ」というのと、「ちょっと医者いってくるわ」の違いくらいのものである。

プレスリリースとニュースリリースは、「報道発表資料」の呼び名のバリエーション、also calledなのである。

「プレスリリースを出すにはニュース性は見当たらないけれど、ニュースリリースとして出せばいいや」などという、へんてこりんな会話がなされることを恐れる (もうされているかもしれない)。すでに一定の解釈が存在する言葉の意味を恣意的に変えようとすることは、誤解や混乱をまねいて決していいことにはならない、決してささいなことではないと思うので、こうして愚考するものであります。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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