翻訳リリースと「おおかみ少年」

 

外資系企業の日本法人広報にとって、海外本社が出すプレスリリースの使い道はけっこう悩ましいのではないでしょうか。どうも海外、特に米国ではプレスリリースで取り扱う内容がある意味幅広いようで、どうみてもニュースと思えないものも出しています。

 

その中でも、「モメンタム」っていうんですか、これがわたしにとっていつまでも謎です。最初は軟膏の一種かと思いましたし(嘘)。

 

「momentum」 辞書を引くと、勢い、機運、気運、契機などの意味が書いてあります。

 

確かにこの手のプレスリリースにはたいてい、「うちの会社はこんなにすごいんだ」「この製品はこんなにすごいんだ」という内容がこれでもかと書かれています。会社の勢いを伝えたいんですね。気持ちはわからないでもない。でも新しいことは書かれていない。これをメディアにどう扱ってほしいのかがうまく理解できないのです。

 

「モメンタム」リリースは確かに存在している。需要と供給が成立しているから存在しているとしたら、海外の記者はこの「モメンタム」をもらってどうしてるんでしょう? 謎は深まるばかりです。

 

つい先日、旧知の出版社のデスクに聞いたところ、日に200通のプレスリリースと称する文書がメールで届くといいます。ネットメディアでは、いわゆるプレスリリース受付窓口には1,000通以上が送られてくるとも聞いています。

 

この中からピックアップされる存在になるだけでもたいへんなのに、意味不明のリリースをバッティングセンターのピッチングマシンのように投げつけているとどうなるでしょう。

 

海の向こうからオフィスの中からとどうしても抗えない力がおよんでくるときもあるでしょう。そんなときは、参考資料としてホームページに載せるだけにするとか、お客様やパートナーには有効な内容であればお客様向けニュースレターに要点を掲載するとか、こんな活用方法もあります。

 

「モメンタム」に限らず、きちんと取捨選択できていない翻訳リリースや日本発のものでもニュースのポイントがわかりにくいものを乱発していると、本当に報道してほしい、そしてその価値がある発表をしたときには、時すでに遅し。読まれずにごみ箱直行の存在になってしまっていて。。。あぁ。

 

なんだか、イソップ童話の「おおかみ少年」のお話を思い出します。気をつけないと。