経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2015.06.30

「神は細部に宿る」

絵文字だけで書いたゼネラルモーターズ(GM)のプレスリリースが話題になった。こちらのGMのサイトで読める(いや、読めない)。次の日には「解読文」なる英語訳のリリースを発表した。ほとんどのメディアが目を通すことになっただろう。プレスリリースに注目してもらう方法としては成功だったにちがいない。

だが、いくらユーモアを愛するアメリカ人といっても、実際には困惑したメディアも多かったのではないか。次の日に「解読文」が出るといっても、何かおあずけをくらっているような気がしないでもない。Wired誌は「絵文字は文字言語に取って代わるためでなく、文字言語を補完するためにあるということを、誰かGMに伝えてもらえないだろうか」(wired.jpより引用)と皮肉っぽく書いている。

いずれにしても、こんな芸当をやってのけられるのは、メディアが追いかけざるを得ない超有名企業だけだ。その他ほとんどすべての企業は、オーソドックスでまっとうなプレスリリースの作成に日々取り組むのである。

プレスリリースは文字通り、報道機関に配布する発表資料だが、今は企業のウェブサイトなどにも掲載されるので、顧客をはじめ様々な利害関係者が読むようになった。だれが読んでもわかりやすい文章が、今まで以上に求められるようになった。わたしたち広報従事者にとって、文章力の向上は差し迫った重要な課題である。

では、プレスリリースを書くのに必要な文章力とは何か。それは、正確な記述、誤解を与えない記述、ということに尽きる。不正確で誤解を与える文章は、メディアに迷惑をかけ、組織に損失をもたらす可能性があるからだ。

わたしが最近、あらためて気をつけていることは、読点や助詞の使い方、修飾語の位置、漢字とひらがなの選択などの細かい点についても考え抜く、ということである。こうしたことは好みの問題にすぎないと軽く言う人もいるが、わたしはそうは思わない。「神は細部に宿る」という言葉のとおり、細かい表現作法に気を配ることなしに、プレスリリース全体のクオリティーを上げることはできないと考えている。

文章の基本は市販の本で十分学べる。わたしは、「日本語の作文技術」(本多勝一著、朝日文庫、1982年)と「理科系の作文技術」(木下是雄著、中公新書、1981年)を時折読み返して基本を確認するのだが、近ごろは文章の書き方を解説した本が頻繁に出るので、これらの新しい本もできるだけ読んで勉強することにしている。同じテーマの本を複数冊読むと、大事なことが共通項として浮き上がってきて血肉になりやすいというメリットがある。

ところで、映画「男はつらいよ」では、タイトルバックの背景で江戸川の河川敷の様子が流れるが、よく見るとちょっとしたドタバタ劇が毎回繰り広げられている。「今回からおいちゃん役が交代したんだ」などとクレジットを追いかけていると気がつきにくいので、どれだけの人が見ているかわからないが、山田洋次監督はこのシーンにも毎回手を抜かない。この数分間の短い映像が映画全体の完成度に果たす役割は、決して小さくないと思う。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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