経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2012.09.29

オフレコは封印しませんか

オフレコという言葉は、メディアや広報の仕事をしている人でなくてもよく知られている言葉である。一般にも「それオフレコね」などと秘密とか他言無用と同じ意味で使われる場合がある。

もともとは報道用語のオフ・ザ・レコード(off the record)の略で、日本新聞協会では「ニュースソース(取材源)側と取材記者側が相互に確認し、納得したうえで、外部に漏らさないことなど、一定の条件のもとに情報の提供を受ける取材方法」としている。

このオフレコについては、政治家や官僚の取材でたびたび問題となっている。昨年、当時の防衛省沖縄防衛局長のオフレコ懇談での発言を、琉球新報が記事にして騒ぎとなったことは記憶に新しい。賛否が渦巻いた。

それにしても、なんで取材される側は、オフレコの場になると言葉が粗暴になるのだろう。ざっくばらんに、胸襟を開いて、忌憚なく、ということを大きく勘違いされているのかしら。エライ人は、オフレコだからこそ丁寧に、と考える人じゃなきゃと思う。品の問題です。

オフレコ取材は閣僚や政府高官と新聞記者の間の信頼関係で成り立っているようで、それに関して今回はなにもいわないけれど、転じて企業の広報活動に関していえば、オフレコはないと考えるべきではないかと常々思っている。

それ自体は書いてもらっては困るが今テーマになっていることをより正確に正しく理解してもらうための欠くべからざる背景説明を、取材する側とされる側の深い信頼関係が成り立っているという条件のもとで、はじめてオフレコが通用する。あえていうなら、これが取材に答える側からみたオフレコの正しい解釈だろう。

しかし、一般的な企業の広報活動の中でそこまで必要なことはほとんどない。企業の取材現場で「オフレコね」といってしゃべり出す人は、たいていが「オレ(ワタシ)はこんなことも知ってんだよ」ということを誇示したいにすぎない。きちんと話せることだけで堂々と説明すればたいてい事足りる。

一方、しゃべったことに対して都合よく取り消そうとする例がある。日経ビジネス2012年9月3日号に掲載された『放射性物質「不検出」の闇』という記事では、取材中に発言した放射性物質の測定時間を「オフレコにしてもらえないか」と後から要求してきた食品会社とのやりとりが書かれている。消費者の健康や命に関わる重要なテーマだ。取材した後にオフレコにしてくれと言われても当然記者は断る。今度はその後、測定時間自体がまちがっていたので訂正したいといってきたという。

現場で不正確な情報を出してしまったから正しい情報に訂正しようとしているのか、正確な情報を出したが後から都合が悪いことに気づいて訂正しようとしているのか、は記事ではわからない。しかし、オフレコにしようとしたことで、記者に簡単には覆らない不信感がつのったことだろう。

しゃべったことはすべて記事になる可能性がある、という緊張感を持って、取材に対応することが肝要である。オフレコという概念は捨ててしまうのがよい。

前に書いた「リーク」もそうだけど、これらの隠語(とあえていってしまおう)は取材される側が(それも広報が率先して)訳知り顔で使ってるとろくなことにならない言葉だな、とあらためて思ったのでした。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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