経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2011.07.25

外人さんインタビュー

外国人のインタビューアレンジを満足いくものにするのは、それほど簡単ではない。特に通訳を通して行う場合はとても気を使う。

あたりまえですが、もっとも神経を研ぎ澄まさなければならないのが、インタビュアーの繰り出す日本語の質問が通訳を介してきちんと伝わっているか、ということである。

日本語での会話は、外国語(とくに英語)に比べて、あいまいさを残したまま進んでいくことが多い。お互いが文脈や空気から判断しながら会話を進めていく。主語が省略される場合も多い。

たとえば、新年度が始まってしばらくして社長のインタビューがあったとしましょう。イントロ部分でインタビュアーは「新年度が始まっていかがですか?」のようなウォーミングアップ・クエスチョンを投げかけてくる。日本人同士だとこのような質問でなんとなく会話がはじまり、だんだんと核心部分に話がおよんでいく、というようなことが案外ふつうである。

これが日本に着任したばかりの外資系日本法人トップだったりするとそうはいかない。「日本に着任して3ヶ月がたちましたがいかがですか?」のような質問が、通訳を通しても主旨がうまく理解してもらえない場合がけっこうある。質問が広すぎて何を答えたらいいのかわからないという顔をしている。もしくは「質問が広すぎて何を答えたらいいのかわからない」とはっきりいうときもある。インタビュアーが市場の状況や自分の意見をひとしきり述べてから「で、それについてはいかがですか?」のような質問でも同じような状況になることがある。

インタビューにおいてはリズムが大事である。できるかぎりこんな状況をつくらないように、こうした質問の場合は日本語をそのまま訳すのではなく「いかがですか」のところをできる限りスペシフィックな質問になるように考えて英語に直してほしいと通訳に事前に頼んでおくとよい。ちょっとしたことだけれど、これだけでだいぶちがう。英語が得意な広報であれば自分で修正できるかもしれないけど、それによって時間がかかってしまうので、やはり通訳の段階でなるべくリスクを除去しておくほうがよいと思う。

わかりにくいかもしれないので例をあげます。今朝テレビの報道番組で、世界一となったなでしこジャパンの選手に「帰国して一週間がたちました。ワールドカップ前と比べてどうですか?」と質問するシーンがあった。もちろん、日本人同士なのでなんとなく答え始めたのだが、これをスペシフィックな質問にかえると、「帰国して一週間がたちました。ワールドカップ前と比べてあなたの毎日の生活は変化しましたか?そうだとしたら、選手生活あるいはプライベートで、どのように変わったか教えてください」とでもなりますか。

このことについては、ずっと日本語と外国語という言語の違いによるものだと単純に考えていた。

ところが先日、情報番組で街の外人さんたちに日本に住んでよかったところを聞くコーナーがあり、「日本に住んでみてどうですか?」と質問するレポーターに対して、銀座を歩いていたフランス人は「それはずいぶんと広い質問ですねえ」と流暢な日本語で反応したのである。

熱狂的な三船敏郎ファンだという別のアメリカ人は、浅草公会堂前の三船敏郎の手形に手を合わせて「どんな感じですか?」とレポーターに聞かれ、「かたい」と答えていて思わず笑ってしまった。

日本人なら、「四季があって美しく、安全で住みやすいです!」とか「あこがれの人と手をあわせられて最高です!」といったような回答を想定するだろう。(すごくつまんない回答例ですね、すみません)

いまさらながら、言語と思考は切っても切れない関係があるんだなと実感したのであります。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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