経営を強くする広報コンサルティング|株式会社プラスワンコミュニケー ションズ

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2011.07.19

危機管理の基礎の基礎

わたしは九州出身のB型である。このあいだ辞任した前復興担当相の辞任前の釈明会見にはあいた口がふさがらなかったが、そこで突然フィーチャーされた組み合わせである。さっそくどこかのメディアがネット上で九州出身B型の有名人のリストをつくって公開していたのだけれど、わたしと同じ大分生まれのB型には元力士の千代大海がいた。なんて、どうでもいいことですが。

日本に比べて血液型による性格判断がポピュラーでないヨーロッパのメディアは、あの放言について驚きをもって報じたという。でも、日本の閣僚、それも今最も大事なポジションの一人が辞任したことよりも、どちらかというと血液型での性格判断が日本ではやっていることに関心をもって各国各紙は書いたようで、あぁ日本のいまの国際的な地位を象徴しているなと感じた。

近年ほんとうに、失言、放言、暴言で辞める政治家があとをたたない。そしてビジネスの世界でも、経営者が不祥事の際の記者会見で失敗し、事態をさらに悪化させてしまい、企業の存続すら危うくさせてしまう例が少なくない。

「危機管理」という日本語を作ったといわれる、この分野の第一人者である佐々淳行氏は、危機の際の記者会見では何を発表するかのリストは役に立たずむしろ有害で、何を言ってはいけないかのリスト、「ネガティブリスト」を用意するのが鉄則だと述べている。つまり、「何を発表するかリスト」を作って会見に臨んでしまうと、言ってはいけないことに質問が及んだときに自分の判断で憶測にすぎないことや公表してはならないことをしゃべってしまう可能性がでてくる。逆に「何を言ってはいけないかリスト」をつくって、それ以外は何を答えてもらってもよいとすることが危機時の会見の要諦であると。

特に多くの企業においては、事業提携とか新製品とか自分たちを華々しくアピールする場としての記者会見しか経験していない。この場合は「何を発表するか」がしっかりしていれば、想定外の質問がきてうまく答えられなくても大失敗にまでなることはそうない。同じ感覚で危機時の会見に臨んで失敗するのだろう。

また佐々氏は、「情報の一元化」も大切だが、それよりも「発表の一元化」のほうがもっと重要だとも説いている。これについては、今回の震災後の政府、官僚、東電のバラバラ会見で証明されている。

危機管理は広報の仕事の中でもっとも難しい仕事である。いつやってくるかわからない危機に備えて危機管理マニュアルを作ることが理想なのだろうが、まずは情報の一元化と発表の一元化、会見時の何を言ってはいけないかリストの作成だけでも頭にたたきこんでおくとよいと思う。

さて、佐々氏が警察官僚として現場の陣頭指揮にあたった事件としては、連合赤軍あさま山荘事件が有名だ。2002年に公開された映画「突入せよ!あさま山荘事件」では、役所広司演じる佐々氏の取り仕切りで連日行われる定時記者会見の模様が重要なシーンとして描かれており、記者との丁々発止のやりとりはなかなか迫力があった (と記憶している)。

夏休みにDVD借りてもう一回観ようっと。

*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。

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