菅首相の情報発信力の問題が取りざたされています。首相サイドも認識しており、広報強化を打ち出して、元キャスターを広報担当に起用したり、首相メルマガの復活を検討したりしているとか。しかし、体制や手法をいくら整えても中身がなければ、あだ花に実はならず。
わかりやすいところでいうと、菅首相に限らず、政治家のメモ棒読みの会見はまったく心に響かない。
先の民主党代表選の菅氏と小沢氏の出馬会見のときも、小沢氏は「命をかける」、菅氏は「ボロボロになっても」、とそれぞれの気持ちをあらわす表現でさえ原稿みて読んでいた。とても空々しく聞こえた。
それと違って、たとえばスポーツ選手のたどたどしくもふり絞るようにして言葉をつむぎだす姿は人の心を打つ。
サッカーのワールドカップで試合後にインタビューに答える日本代表選手しかり、秋の六大学野球優勝決定戦に勝ってインタビューに答える早稲田大学野球部の斎藤選手しかり、聞いている人にメッセージがしっかり伝わる。腹にズドンとくる。もちろん話すことにリアリティーがあるからだ。
冒頭の菅首相の発信力については、先日朝日新聞に記事が掲載されていた。記事は首相の発信力不足を分析したもので、後半は歴代首相が配信してきたメルマガを一回も出していないことに触れ、官邸スタッフのコメントを引用した以下の文章で締めくくられていた。
『官邸スタッフは「メルマガは単に首相がやりたがっていないだけ」と明かす。別のスタッフは「首相に『これをやりたい』という政策の核があれば、ふさわしい手法が見えてくるのではないか」と話し、まず国民へのアピールの中身を充実させるべきだ、と指摘している。』 (以上、2010年10月16日付朝日新聞朝刊4面より引用)
手法より何よりもまずは中身。企業の情報発信も同じだと思います。
*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。