ふだんテレビはほとんど見ないのですが、日曜日の「龍馬伝」は楽しみに観ています。先日の「いろは丸事件」の回は、広報視点で見てもとても興味深い内容でした。
龍馬が作った亀山社中が海援隊と名を変えて初めての仕事の途中で、紀州藩の船と衝突し、海援隊の船は沈んでしまう。龍馬は徳川御三家の紀州藩を相手に脱藩浪人の身で果敢に賠償交渉を進めていく。
あの時代に万国公法を持ち出して、圧倒的に弱い立場から損害賠償を勝ち取った歴史的な交渉として有名だが、広報の仕事をしていると龍馬が芸者や商人を通じてはやらせたこの唄にどうしても注目せずにはいられない。
「船を沈めたその償いは、金を取らずに国を取る。よさこい、よさこい。国を取ったらみかん食う」
徳川をバックに非を認めぬ高圧的な紀州藩を揶揄したこの唄で、長崎の人びとは海援隊に共感的となる。世論を作る広報活動を成功させたのである。
これも有名な話のようですが、表向きの派手な話はともかく、この唄が広まった背景というか基盤というか、ドラマを見ているとそんなようなものを強く感じました。
ただ痛快だから広まったのではなく、龍馬率いる会社が仕事でも遊びでも、それまでの行動において長崎の人びとの信頼を得ていたから好意的に広まったというところが大事なのではないですろうか。
*目黒広報研究所に投稿したブログを転載しています。